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滋賀県草津市にある犬の保育園(幼稚園)にて、ドッグトレーナー見習いとして犬のしつけを経験して感じたこと

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滋賀県草津市にある犬の保育園(幼稚園)で
ドッグトレーナー見習いとして犬のしつけを半年間経験

3年半経営していた会社を解散し、犬猫の殺処分に疑念を持っていたぼくは、滋賀県草津市にある犬の保育園(幼稚園)の門を叩きました。その犬の保育園では、犬のしつけやトレーニングとは別に、動物保護センターにて譲渡候補から外れた犬を引き取り、譲渡先が決まるまでお世話をしつつ、トレーニングや社会化を行う、といったボランティア活動もされています。ぼくもその力になりたい!という思いで、動物関係の学校を出ていない素人を、無理を承知でお願いし雇っていただくことになりました。(一度メールでお願いし断られ、懲りずに電話で直接訴えて面談の機会をいただきました。)半年という短い期間でしたが、多くを学ぶことが出来ました。

犬の保育園(幼稚園)とは

オスワリ・フセ・マテ・オイデ・ヒールポジション・ヒールウォークといった犬のしつけ(オビディエンストレーニング)、犬の社会化トレーニングを行います。社会化トレーニングとは、人慣れ・犬慣れ・もの慣れ・音慣れといった日常生活で触れる様々な刺激に対して慣れるトレーニングをいいます。

人慣れ

想定している”人”は、動物病院の獣医師や看護師、ペットサロンのトリマーなど。犬が生活する上で必ず関わる人たちです。

犬慣れ

想定している”犬”は、お散歩・動物病院・ペットサロン・ドッグカフェ・犬同伴可能な様々な施設で出会う犬たちです。

もの慣れ

想定している”もの”は、ブラッシングに必要なブラシ、歯磨き用の歯ブラシ、爪切りなど。主に、犬のお手入れに必要なものたちです。

音慣れ

想定している”音”は、掃除機・インターホン・電話・車のドアの開閉音などの音です。

犬のトレーニングや社会化に携わって感じたこと

トレーニングや社会化を行うための、場が少ない

犬のトレーニングや社会化を行うには、そのための”場”が必要です。人と犬が一緒に利用できる施設、そのような”場”が日本にまだまだ少ないのが現状です。

ぼくの勤務最終日に悲しい出来事がありました。公園でいつものようにトレーニングをしていると、ゲートボールをされていた一人のおじいさんがクラブを振り上げこちらを威嚇してきました。「犬のふんに困ってるんや!」と。公園のど真ん中を貸し切ってゲートボールをなさっていたので、その周りを邪魔にならないようにトレーニングしていた時でした。

これは、一部の犬の放置ウンチによって犬そのものが嫌いな人の典型例。

屋外トレーニングで公園が利用出来ないならば、どこでトレーニングすればよいのでしょうか。

犬の社会化には”場”が必要です。

”ほめるトレーニング”と”叱るトレーニング”のバランス
”ほめ”と”叱り”のタイミング

ほめるトレーニングと人間のゆとり教育は似ていると思います。いま、ゆとり教育ってどうでしょう。脱ゆとりの方向で教育は進んできています。引き締めるところは引き締めなければいけない。間違いは”叱る”。成功や望ましい行動は”ほめる”。人もそうだと思います。叱られてばかりだと何が正しい行動なのか分からなくなるし、ほめられてばかりだと間違った行動をしたときに反省して正す能力が欠如します。犬は本当に賢いので、その違いをしっかり理解してくれます。”叱る”と”ほめる”のバランスが重要です。さらに、その”ほめるタイミング”と”叱るタイミング”が重要。タイミングがずれてしまうと、犬はどの行動についてほめられたのか、叱られたのか、分からないのです。

犬のしつけは、ドッグトレーナーの指導を飼い主が継続できるか否かが鍵

犬のしつけにおいて当たり前だけど大切なこと。それはドッグトレーナーが指導した内容を、飼い主が継続すること。犬と一緒にいる時間の長いご家族の方が、ドッグトレーナーと同じ行動を継続しその犬に求められている行動の一貫性を保ち強化することが大切です。適正な行動の一貫性を保つため、保育園の通園は多ければ多いほうが良いです。また、ドッグトレーナーの言う事は聞くが飼い主の言う事は聞かない、といった事があります。犬は人によって態度を変える生き物です。コマンドの呼び方、ほめ方、叱り方などは家族で統一しないと犬は混乱します。当然ドッグトレーナーとも合わせる必要があります。

犬の社会的地位の向上を目指す

ひと昔前の日本のお犬事情は、”番犬”が主流。外にずっと繋がれて、ほとんどの時間を家族と別に過ごしてきました。犬と一緒に出掛けることもほとんど無かったでしょう。でも今はそんな時代ではありません。犬は、家族であり、友人であり、愛すべきパートナーです。

犬の社会的地位の向上のためには、まずはモラルを持ちマナーを守ること。自分の犬がしたフンを持って帰ったり、人様の家の前でしたオシッコには水をかけたり、人や犬に向かって吠えないようにしつけたり、人や犬を噛まないようにしつけたり。

そのためには、自治体やドッグトレーナーなどが主体となって、飼い主やその周りにいる人たちが問題意識を持てるように、情報発信・啓蒙活動をする必要があります。

自治体は、犬のふん条例を制定し放置ウンチに対しての抑止力を構築したり、犬の社会化やトレーニングを行えるよう一定規模以上の公園に対してドッグランの設置義務条例を制定したり、犬同伴可能な飲食店・カフェ・商業施設を計画すれば助成金を支給したり、と出来ることがたくさんあります。

自治体が行うべきことは、「”場”をつくれるように条例や環境を整備すること」「”空気”をつくり民間に問題意識を持たせること」です。

上記のことを自治体やドッグトレーナーが行えば、殺処分や保護を必要とする動物を減らせます。一度作った受け皿を、いきなり無くすことは出来ないけれども、徐々に減らすことは出来ます。その取り組みを継続することが大切なのではないでしょうか。

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